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ことは、パソコン通信ユーザーの増加、普及が急速に進み、一般国民にとっての情報交流の新しい様式をもたらしていることで明らかである。また、この1、2年のインターネットの爆発的な普及は誰も想定できなかったものであり、「行政情報化推進基本計画」策定段階ではこの普及が予想できず、その活用について計画事項に一言も記述されなかったことでも分かろう。ネットワークの進展を行政の情報化の観点からみると、「行政情報化推進基本計画」が実施に入ってから最も順調に達成された事項が各省庁内におけるLANの構築と、それらを相互に接続する霞が関WANの構築であることに象徴的である。さらに、今まで地方公共団体間のネットワークが一種タブーとなって1つとして存在していなかった状況から、住民記録システムのネットワークという構想が提案されるに至っていることも一大変化である。

これらネットワークの普及は、情報の伝達、利用に画期的な変革をもたらす可能性があり、それだけに情報の生成、提供を旨とする行政サービスの変革における活用の可能性として期待される訳である。第3章で記述した、行政サービスヘのアクセスの改善はまさにこのネットワークの展開、普及を前提としたものである。ここで記述された新しいアクセス形態であるワンストップ・サービスの代表例である住所変更を考えてみると、1人の住所は多くの行政機関のアプリケーションに登録されており、今の段階では各人が自ら、必要な変更をしなければならないが、行政機関間のネットワークが実現して、住所変更に関するデータが必要とされる機関へ自動的に伝送されるようになれば、国民は個々の行政機関に1件ずつ変更届けに赴くことは必要なくなるし、行政機関間の文書の送付、受領手続も簡素化されることになるのである。また、マルチ・アクセス・サービスの場合、例えば、市役所で申請を受け付けた旅券発給申請に関する情報を住民票の情報を併せて外務省の旅券課へ伝送し、回答を得れば、旅券の作成・発行およびその際の本人確認という手続を経れば完了するのである。旅券申請書の受理から旅券の発給の大半部分をネットワーク上で実施できるのである。

パソコン通信やインターネットの国民一般への普及は、その情報インフラを活用して行政情報を広く国民へ提供できることとなることも、新しい事態である。

 

(2)オープン・システム環境の確立

パソコンおよびネットワークの普及がこれほど急速に広く進展した最大の要因は、オープン・システム環境の確立である。インターネットがこれほど世界中に普及したの

 

 

 

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